危機管理アドバイザー和田隆昌さん
「しんぶん赤旗 日曜版」 2011年06月19日
甚大な被害、犠牲者を出した東日本大震災。日本は世界でも有数の地震発生地帯で、いつ、どこで大地震が発生してもおかしくありません。地震から身を守るポイントを危機管理アドバイザーの和田隆昌さんに紹介してもらいます。
備えは、あの大災害の記憶が薄れない今からすぐにとりかかりましょう。
地震から身を守る基本は、(1)安全な地域に住む (2)安全な家に住む (3)家のなかでとくに寝室を安全にしておく (4)家族の必要に応じた防災用品をそろえておく―です。
(1)では、少なくとも現在住んでいる地域の災害リスクを知ることです。起こることが確実視されている東海地震の地域をはじめ、海岸地域に住む人は、津波が襲来したときにどこに逃げるかを決めておきます。以前に沼地や田んぼだったところや埋め立てられたところは液状化現象がおこることがありえます。自治体や公的機関のホームページで調べ、聞いておきます。
そして、自宅が危険な状態になったときに向かう、避難場所や、避難所(被災した人が生活する場所)を確認し、安全にたどりつけるルートを家族で歩いてみましょう。
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いろいろな場所で大地震に遭遇したときにどのように身の安全を図るかを家族で話し合っておきます。家庭でのケースは次回に紹介します。
外出先で屋内にいてその建物が安全なときは、外に出ないでガラス窓から離れ、照明など天井からの落下物に注意しながら、カバンやバッグなどで頭を守ります。建築物の耐震性は、建築基準法の改正で、1981年6月以降、強化されています。
街を歩いているときは、周囲の建物から窓ガラスや看板などが落ちてくるかわかりません。鉄筋の建物があればそこに逃げ込みます。
オフィスでは、机は頑丈です。その下に隠れれば、本棚が倒れてきたり本がくずれても大丈夫。机の下に体が入れられるようにしておくことが肝心です。
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家族がバラバラになっている状態で地震が起きたとき、連絡をとる方法を決めておきます。
安否確認の電話や携帯をかける人が多くなってつながらなくなることは今回の経験でもわかりました。公衆電話はつながりやすいのである場所を確認しておきます。
NTTは、震度5程度の地震の発生した地域に災害用伝言ダイヤル「171(いない)」を設けます。音声ガイダンスにしたがってかければ、伝言を登録し、その伝言を聞くことができます。毎月、1日と15日に体験利用ができますので家族で試して身につけておきます。
携帯電話のインターネット機能を使った「災害用伝言板」も開設されます。
これらが利用できないこともあります。そのためにも避難するときの待ち合わせ場所を細かく、「○○」でと決めておきます。避難するときにはドアの内側に「○○にいます」と書いて張っておきます。ドアの外に張るのは、一目で家に人がいないことがわかり盗難にあいやすいのでおすすめできません。
保育園や学校は、子どもの安全に責任を持つよう、避難マニュアルを決めているはずです。その内容を必ず確認しておきましょう。
危機管理アドバイザー和田隆昌さん
総合情報サイト「All About」で「地震・自然災害・火事対策」ガイドを務める。NPО法人「防犯ネットワーク」理事。著書に『大地震から家族を救う方法』など
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