危機管理アドバイザー和田隆昌さん
「しんぶん赤旗 日曜版」2011年07月17日
今回は、○安全な家に住む ○家の中で、とくに寝室を安全にする―を中心に地震から身を守る基本を紹介します。
まず大事なのは、住む家の耐震性が十分であることです。マンション、木造一戸建てにかかわりなく、心配な場合は耐震性診断をしてもらいましょう。自治体では診断費用の助成をしています。助成金額など内容は自治体によって違いますので確認しましょう。また補助工事の助成もあります。
次に大事なのは、家の中、とりわけ寝室を安全にすることです。人が一番無防備なのは睡眠時だからです。できるだけものを置かない、置いても低いものにします。家が狭くて、それが無理でしたら、いろいろ対策をとりましょう。ベッドや布団にたんすなど家具が倒れてこないように配置します。そして転倒防止金具で家具をとめます。
賃貸住宅の場合、転倒防止金具をとりつけられない場合もあるでしょう。そのときは突っ張り棒を家具の上に置き(天井が硬くないと効果がありません)、家具の下の手前に転倒防止ストッパーを差し込むと倒れにくくなります。
布団の位置は、照明の真下や窓際は避けます。寝室も含め、窓ガラスには飛散防止フィルムを張り、カーテンも厚手のものにします。寝室の枕もとにはスリッパ、懐中電灯を備えておくと安心です。
家の中にいて強いゆれが起きたときは、あわてずにまず頭を布団や、クッション、盆など手近にあるもので覆い、落下したり、倒れてくるものを避けることを優先しましょう。台所では食卓にもぐりこみます。がっちりした食卓でない場合は、「耐震性を高める」後付けの脚を購入して補強しておきましょう。
料理中に強いゆれが起きた場合は、ガス台から離れ、身を守ることを優先しましょう。鍋の油や熱湯をかぶると危険です。都市ガスにはマイコンメーターがついていて、震度が5以上になると自動的にとまります。ゆれが落ち着いてから元栓をとめます。
トイレやふろ場は構造的には安全ですが、ドアなどがゆがんで閉じ込められないように、ドアを開けておきます。ドアに物が倒れないようにしておきます。
逃げ道の確保をしておくこともポイントです。一戸建ての場合、外へ逃げる出口は何カ所もありますが、マンションの場合は「玄関」1カ所というのが普通です。余裕があれば玄関まで移動してドアを開放しましょう。玄関まで安全にたどりつけるよう、家具などが転倒しない対策をとっておきます。
台所は危険な場所です。ガラスや食器など割れれば危険なものがいっぱいです。食器棚は観音開きの場合は開かないようにストッパーでとめ、重いものは下におき、食器の下にはすべりどめのシートを敷くなどしましょう。
重い冷蔵庫は動かないと思いがちですが、背の高い割に安定感のない冷蔵庫は倒れます。壁にベルトなどで固定できる場合はとめておきましょう。
居間では、薄型の大型テレビは固定具で転倒防止をし、パソコンもプリンターもできるだけ低い位置に置きます。テレビやパソコンの下に敷く転倒防止クッションを貼る方法もあります。
高層ビルは、低中層の建物よりゆれがひどくなります。それも考慮して対策をとることが必要です。
なお自治体によっては、家具固定金具を高齢者世帯に無料で付けるなど補助があるので、確認しておきましょう。
- わが家の地震対策 <上>/避難先、連絡方法を確認
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