「しんぶん赤旗」 2011年09月13日付
11日投開票の岩手県議選で、初めて複数議席を獲得した日本共産党。震災からの復興、放射能汚染対策が大きな共感を広げました。
東電交渉「頼もしい」 得票率は前回比5割増 一関区 高田一郎さん
5議席を7候補が争った一関区では、日本共産党の高田一郎氏(52)=新=が、1万1951票(得票率16・52%)を獲得し、前回比2709票増(得票率1・45倍増)の3位で当選。前回200票差で涙をのんだ雪辱を果たし、県南地域で共産党初、盛岡区での当選をあわせ県政史上で初の共産党複数議席を実現しました。
高田氏は「放射線量の高い場所のある一関で、子どもを守るには徹底した放射線測定と除染、継続的な健康調査が必要」と訴え。農業被害についても、岩手県の政治家としてはただ1人、農家とともに東京電力本社に出向き、全面賠償を求めました。
この姿がテレビなどで放映され、党派を超え「頼もしい」と評判に。「放射能対策と原発撤去を進められるのは共産党の高田さんしかいない」―。子育て中のお母さんを中心に高田支持が広がり、党と後援会でつかみきれないところで「支持を広げてくれていた」状況が次々と生まれました。
ある40代の女性は「私たちが意見をあげていくのは当然です。どの政党かは問題ではありません」と話します。
「国が安心という基準値も大きいし、隠されているようです。放射線を測定しても、除染とか先に進んでゆかないんです。でも子どもたちは毎日学校に通っているんですよ」と国や県の姿勢を批判します。
「県民のこの声に応えるためにも、今回は何としても必ず県議を」と、党と後援会も高田勝利へ一丸となりました。女性後援会は、原発ゼロを掲げた特注の黄色Tシャツをオーダーし、そろって宣伝。話題になりました。「今までやったことのないこと、もうありとあらゆる活動をした」と当選後に感極まって報告する男性もありました。
高田氏は当選翌朝、一関市の街頭で「新しい県議会で、斉藤信県議と複数議席の力で公約実現に全力をあげます」と訴えました。
大激戦〝勝ち抜いた〟 地元紙「重要課題を提起」 盛岡区 斉藤信さん
県内の6政党・会派すべてが激突した岩手県議選盛岡区(定数10、立候補16人)で日本共産党の斉藤信氏(60)=現=が5選を勝ち取りました。
投票率が前回比で11・92ポイントも下がるなかで、斉藤氏は得票数と得票率を減らしたものの、6位(前回8位)で当選しました。斉藤氏は「被災県で議席を倍加した歴史的な勝利だ。この力で被災地の復興を前に進めたい」と決意をのべました。
事務所に駆けつけた58歳の男性=自営業=は「自分も近所で支持を広げた。斉藤さんには震災問題でがんばってもらいたい。共産党の2議席で県政を動かしてほしい」と期待を込めました。
また斉藤氏は、ただ一人の党県議として、被災者の命を守るために津波で破壊された地域に毎週のように入って支援、実情を聞く活動をするとともに、高田、大槌、山田の県立病院を再建すると一貫して訴えました。
地元紙の岩手日報(5日付)の県議選アンケートでは県立病院について72人の候補者の57%が「すべて再建」と回答。選挙後の同紙(12日付)は「(共産党が)県立病院の再建問題など、今後の県議会で議論になる重要課題を提起したことは評価したい」と報道するまでになりました。