「しんぶん赤旗」2011年11月15日付
13日に投開票された宮城県議選(定数59)で、津波の被災地の選挙区で日本共産党は新たな議席を確保しました。定数5の石巻・牡鹿区では初の議席を獲得。定数2の塩釜区では2003年に失った議席を回復しました。各紙も「沿岸部の塩釜選挙区でも『脱原発』を唱えた新顔が初当選」(「朝日」14日付夕刊)などと報じました。
初議席、党派超えた支持 石巻・牡鹿(定数5)三浦一敏氏
定数5の石巻・牡鹿区では日本共産党は初議席を獲得しました。自民党、民主党の現職が落選しました。
「三浦さんは被災者の立場で必ずやってくれる人。当選してほんとによかった」―。石巻市大橋の仮設住宅に住む男性(49)はこう話します。
石巻市議を7期19年務めた三浦一敏氏(61)=新=は、東日本大震災発生直後から、被災した党東部地区事務所のすぐ近くにおかれた「日本共産党震災・救援対策センター」の本部長として、被災者支援に奔走してきました。同センターには全国からボランティアのべ4500人が集まり、被災住宅の泥出しや在宅被災者、仮設住宅へ救援物資を届けるなど献身的な支援活動をしてきました。
被災地の実情をつぶさに調べ、被災者の声を聞き、実現する先頭に立ってきた三浦氏。「この声に今、一人の人間として政治家として応えなければ、自分の人生の総括はできない」と告示日の第一声で固い決意を語りました。
選挙戦では、被災者中心の復興とそのスピードアップ、日本の漁業・農業を破壊するTPP参加反対、漁業を大企業に売り渡す「水産特区」反対という住民の声を県政に届けると訴え。今まで共産党とはつながりのなかった被災者、漁業関係者、農家などから党派を超えて幅広い支持が寄せられました。
また原発問題でも、国・知事・東北電力にはっきりものがいえる政治家として、女川原発再稼働阻止、食の安全確保を主張しました。
震災で自宅が大規模半壊となり、娘宅に身を寄せている石巻市元倉の男性(76)は、「共産党は実行力がある。石巻市と宮城県が力をあわせて復興をすすめるためには、共産党の三浦さんでないとだめ。県政で全力で頑張ってもらいたい」と期待を寄せました。
自民現職制し議席奪回 塩釜(定数2)天下みゆき氏
定数2の塩釜選挙区では午後10時、天下みゆき氏(55)=新=の当確が報じられ、事務所に集まっていた30人の支持者から「必ず勝つと信じていた」とどよめきが起こりました。「やった!」「自分が生きている間に県議を出せるなんて」と手を取り合い、抱き合う姿も。
天下氏の得票は4920票。9月に行われた市長選での同候補の4330票に600票余り上乗せし、水産業者らを締め付けた自民現職を制して、定数2の一角に入りました。同選挙区での日本共産党県議の議席は8年ぶりです。
天下氏は、支援者を前に「被災者に寄り添い、仮設住宅の声などを政策にまとめ、訴えたことが、共感・支持されました」と語りました。
さらに「大企業優先の復興をトップダウンで進める村井県政に対し、地元の業者に発注しなければ街が元気にならないと批判してきた」と振り返り、「最終盤、自民2議席独占のままで、本当に塩釜の復興が実現できるのか」と力いっぱい訴えたことが有権者に届いたとのべ、支援者と喜びあいました。
選挙事務所に駆けつけた介護職の菅野友子さんは「やっぱり、被災した個人の事業主さんの再建が最大の課題です。大企業の進出で、ただでさえ成り立っていかない中小企業です。直接の支援なしでは塩釜は復興できません」と期待を込めました。
「電話やビラまきなど頑張りました」と話す女性(33)は「定数2で当選は本当にすごい」と改めて当選の重みをかみしめていました。