「しんぶん赤旗」2011年11月19日
支持増やす「担い手」広げに広げ
2から4へ党議席の倍増を果たした13日投開票の宮城県議選で、8年ぶりに議席を回復した塩釜選挙区(定数2)のとりくみを紹介します。あす付では、ひきつづき初議席を獲得した石巻・牡鹿選挙区をとりあげる予定です。
震災と津波によって1万軒を超える住宅被害を出した宮城県塩釜市で、「被災地の声を県政に」「生活再建にスピードを」と訴えた、天下みゆき氏(55)が定数2で当選を果たしました。
「天下さんが当選して本当にうれしい」と女性商店主(53)は喜びます。昨年オープンしたばかりの店の設備が津波で使えなくなりました。途方にくれていたとき、党市議から再建資金補助の制度を教えてもらい、活用できることに。「九州の人からも支援物資を届けてもらいました。共産党の人は現場に足を運び、一生懸命、分け隔てなく救援の活動をして、私たちの困っているところを見抜いてくれる」と信頼を寄せ、初めて共産党の天下さんに投票しました。
党の活動すごい
天下さんは32年間民医連で働き、坂総合病院事務長、宮城民医連事務局長などをつとめ、医療・福祉問題に明るく、3月11日の震災直後からは全国からかけつけた2500人の医療関係者の救援活動の陣頭指揮にあたりました。「命の平等」を信条に、9月の市長選挙では、現職を相手に奮闘し、県議選では、市長選より600票余り伸ばして4920票(得票率24・10%)、参院選挙比例比で209%を獲得。自民の現職、民主公認候補に競り勝ち、自民党の2議席独占を打ち破りました。
選挙戦では、地元の党議員、党組織、全国から次つぎと駆けつけた党のボランティアの震災直後からの献身的な救援活動にたいする住民の共感がありました。
小泉氏ら歴代の首相に期待を寄せては「裏切られっぱなし」というスナックの女性経営者は、業者後援会から初めて働きかけられました。「震災前までは感じなかったけど、共産党の活動はすごい。夫と『やってくれるんじゃないか』と話して、初めて共産党にかけました」と語ります。
雨の中700人参加
天下さんは、「漁業特区」構想など大企業を優先している村井県政を変えて、被災者や県民に寄り添う政治の実現を正面に掲げました。被災者の生活再建のスピードアップ、地元企業の再建と雇用の拡大、福祉の充実、原発ゼロをめざす政策を訴えました。「国民の苦難あるところ共産党あり」には、党の救援活動をよく知る有権者から確かな共感がありました。
県の補助で国保税1万円を引き下げる訴えや、かまぼこなど練り製品の生産日本一の水産業や商店街の再生に向けた町づくり政策も好評でした。
選挙戦を通じて99カ所の街角演説、個人演説会を開催。街角演説は、動員型ではなく、事前ビラで対話を重視し、有権者500人に1人が耳を傾けました。
6日の志位和夫委員長を迎えた海岸通り商店街での街頭演説には雨の中700人が集まり、参加者に大きな確信を与えました。一方、前日にほぼ同じ場所で自民党の谷垣総裁が演説しましたが、参加者は150人ほど。「共産党、いけるのでは」との声が有権者からあがりはじめました。
塩釜の水産業低迷に加え、震災後のすすまない生活再建。この閉塞感に、「自民党の2議席独占では塩釜は変わらない」「共産党の県議で政治を変えよう」という訴えがしみ込んでいきました。
「仕事の関係で自民党員です」という被災した商店街の男性(66)は、これまで自民候補に頼ってきましたが、今回は共産党に投票。「震災後は従来の政治手法ではピンとこない。共産党は被災者が使える制度を書いたニュースを行政よりも早く配布し、私もそれをもとに考え、話している。私たちの声をくみ上げる活動に期待している」と話します。
今回の選挙戦にあたって党地区委員会と後援会は、定数2で新人候補を当選させるには、党支持を増やしてくれる「担い手」をどれだけ増やすかにかかっていると位置づけ、投票日までこの活動を重視し、貫きました。
候補者の選挙はがきを送った人に「がんばれば勝てるところまできています」と情勢を伝え、「2票、3票と広げてください」とお願いし、毎日どれだけ「担い手」が増えたかをつかみ、最終盤には1000人近い「担い手」が支持拡大に動きました。有権者にはいろんなところからの働きかけとなり、支持を固め、広げる力になりました。
楽しかった選挙
坂病院と民医連の合同後援会の佐藤敏昭さん(62)は「これまでにない担い手増やしの選挙で、楽しかった」と振り返ります。「何か仕事ありますか」と後援会事務所を2回訪ねてきて、初めて選挙活動に参加してくれた退職職員もいました。「天下みゆきさんを県議にする会」がつくられ、賛同した人が「担い手」となり、同僚、親せき、知り合いへの働きかけが生まれました。
業者後援会でも、「担い手」になる人が次つぎ生まれ、周辺市町の後援会員らも立ち上がり、いつもの2倍の支持拡大数を達成しました。
「担い手」は、投票日の棄権防止活動にも力を発揮しました。いつもの4倍もの人が参加して、2中総が提起した「一人ひとりの党員、後援会員の結びつきを生かしてとりくむ」という方針にもとづいた活動が、塩釜の党組織と後援会の大きな確信となっています。
塩釜市の党組織は、対有権者比率で、党員は0・8%、「赤旗」読者は3・1%と県内1の党勢を築いてきました。11月に入ってから「担い手」となってくれた人から6人を党に迎えています。天下健地区委員長は、「地区党は9月、10月と『赤旗』読者を減らしたので、今月は選挙戦で『担い手』になってくれた人や支持をしてくれた人たちに働きかけ、増勢に転じたい」と決意を語ります。
(浜中敏)